( ゚Д゚)<絶対的に具体的なもの

「こう言ったからとて、カフカ自身がおしまいになったという意味ではない。逆に僕はこれまで紡ぎ続けてきた一連の考察をもとに、これからもカフカを考え続けて行くつもりだ。──君のシェップス宛の手紙に書かれている注目すべき発言には、僕にまだまださまざまなことを教えてくれるものが含まれているからでもある。君はそこにこう書いている、「歴史的時代に関しては、啓示の言葉の……〈絶対的な正しさ〉……以上に具体化する必要のあるものは……ない。絶対的に具体的なものは、実現されえないものそのものだからだ」と。ここには確かに、無条件にカフカに当てはまる一つの真理が表明されていて、まさにここにカフカの挫折の歴史的局面を初めて明確にする視点も開けているように思う。」
(「ヴァルター・ベンヤミン/ゲルショム・ショーレム往復書簡 ベンヤミンからショーレムへ〔65〕」)