( ゚Д゚)<serious environmental problems

「「空気が濃い」とはよく言ったものだ。居心地は「風」のように、目に見えず、とらえがたいものである。服地について「風合い」ということばがあるが、「風合いのよさ」があって初めて着心地のよさがある。部屋にも、家にも、公園の木立にも、その「風合い」があるだろう。しっとりと私たちを包みながら澱まずひそかに動いている何かが。
 家や庭や公園のほうも、たえず人間が出入りしなければ速やかに朽ちる。しばらくはいらないと私の書斎の空気がささくれだつ。老母が毎日見回っていた庭は死後一月もたたないうちに荒れ地じみた。タクシーの老運転手の話では、名車といわれる車も毎朝一時間動かさないと駄目になる。熱帯魚も、毎日飽きずに眺めていてやらないと色がくすんでくる。多くの事物は、その「居心地のよさ」を保つために環境としての人間を必要とし、人間を頼みにしているようだ。きっと「居心地」をよくさせる人間とそうでない人間とがいるのだろう。」
中井久夫「居心地」)