( ゚Д゚)<新しい小説

「作者は、時間がたつにつれて、だんだんよく理解することができるというふうに思いながら書いているかどうかはわかりません。たぶん、いま理解されてしかるべきものだと考えつつ筆を進めていることでしょう。(ことによったら、読者のことは考えていないかもしれません。読者は自分の中にいると漠然と信じているからでしょう)そうして、今まで作品はたくさん生産されてきたし、これからもいよいよ沢山生産されるにちがいないが、自分のいま手がけている作品は、自分にとって発見であり、新しいものであり、しかもどう書きあらわし、作品化したらよいか、よくは分ってはいない。それでもこれは、こんなに新鮮に意味あるものに思うのだから、それだけの値打ちがあるにちがいない。こんなふうに昂奮しているのでしょう。作者自身としては、この昂奮に較べたら、あとのことはとるに足らないと私は思います。」
小島信夫「文学の予言的性格」)