2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

( ゚Д゚)<Re: ロレンスの結論

「セルヴァは立ち上って、テーブルの向こうにまわり、湯が沸いたかどうかを見た。 「あんたがあの人の連れ合いならいいと思っていたのよ」 そう言いながら彼女は口ごもったが、別にベルタに口を開かせようとするふうでもなしに続けた。 「男には連れ合いがい…

( ゚Д゚)<ロレンスの結論

「小説はかならずや、女がいかにいとしいものであるか──いかなる代償にも値するほどにいとしいものであることを、あきらかにするであろう。」 (D.H.ロレンス「小説」)

( ゚Д゚)<ロレンスの本気

「ベックリーンや、ベックリーンのような人間は、カフェで席を占めるとき、壁を背にしてしか坐ろうとしないものです。私はしかし、一人の女を背にしてしか坐る気はない。あなたはまるで、後ろに何があるか気が気でないというような印象を私に与えます。間違…

( ゚Д゚)<退廃恋愛

「何故私はひとりの女のもとに行くか。私自身を知るためにである。しかし私自身を知ったあとに何が来るか。そのとき私はなぜ女を抱擁し、未知のものを抱きしめるのか? 自己発見という経験を反復するためである。しかし私は無限ではないから、その自己はもう…

( ゚Д゚)<ないないづくし

「私は知っている、女のいない男とはどういうものかを、ひとりの女を信じ、ひとりの女のものでありながらも、その女を得ることができず、女のいない男として何年も過ごしたあげく、自分のものでない女を抱き、そしてホテルの一室で愛のかわりにその砂漠を味…

( ゚Д゚)<孤影自命・2

「いっぽう森番は、明るくなるにつれて、これはまずいと思いはじめた。自分の淋しさを追いはらおうとしても無駄だ。一生それはついてまわるのだ。ただ、ときに、その隙間が埋められるだけなのだ。たまにだ! そのときが来るのは、ただ待っているしかない。一…

( ゚Д゚)<Re: 反-家族

「やがて私はジャクリーンが疲れてきたのに気がついた。彼女は岩の上に腰をおろして、悲しそうにあたりを見まわした。ブルースは道に目印でもつけるつもりか、さきに立って走っていた。「だっこして行ってもらいたいのかい?」と私はジャクリーンにきいた。…

( ゚Д゚)<参上!コタール医師

「充血はとうにひいたというのに、息苦しさはしつこくつづき、もう説明がつかなくなったので、両親はコタール教授に往診に来てもらった。このような症状のときに呼ばれる医者は、ただ知識があるというだけでは充分でない。三つか四つの異なった病気に当ては…

( ゚Д゚)<小説家修行

「手仕事の真面目さ。──天分だとか、生れつきの才能だとか言わないようにすることだ! 殆ど天分のなかったあらゆる種類の偉大な人を名をあげることができる。しかし彼等は、その味を識っている者なら誰もそれがないとは言いたがらない類のいろんな特質によっ…

( ゚Д゚)<Re: Remembrance of Images Lost

「しかし、想定事項をもとに小説は書けない。われわれが見、聞き、嗅ぎ、触れるものは、われわれが何かに対して信仰を持つことなどよりずっと以前にわれわれに影響を与えているのであり、南部という土地は、われわれが一つの音を聞き分けた瞬間からわれわれ…

( ゚Д゚)<Remembrance of Images Lost

「小説を書くためには、何よりもまず作者が実際に心で経験したひとつないし幾つかの強烈な印象の貯えがなくてはならない。これは詩人の仕事だ。この印象からテーマ、プラン、均整のとれた全体構造が発展してくる。これはもう芸術家の仕事だ。もっとも、芸術…

( ゚Д゚)<恋の才能(承前)

「それでも手紙で人に自分の情を伝えずにいられなくなった時には──まず、どんなに工夫をこらしてさりげなく書いたところで、それはしょせん、自分自身のもっとも傷つきやすいところを赤の他人に《文書》で引き渡すという愚を行うのと変りはない、としっかり…

( ゚Д゚)<恋の才能

「──ああ、手紙……やっぱり、やめにしておきます。いまどき、賢い女性はこういう場合に手紙を書いたりしません。電話もあるのに、じかにお話しする機会もないではないのに。それに、お気持の負担にならないようにするには、どう書いたらいいのでしょう。人に…

( ゚Д゚)<合図的エクリチュール

「Je aufdringlicher die Rechner, je maßloser die Gesellshaft. Je seltener Denkende, je einsamer Dichtende. Je notvoller Ahnende, ahnend die Frene rettender Winke.」 (Martin Heidegger "Gedachtes")

( ゚Д゚)<恋はストロベリー

「愛は与えるゆえに豊かなのである。したがって愛は本質的に高邁なのである。強いられてやむをえずの高邁なのではない。人間の精神の最も高い部分から是認されなければ生まれえないものが、愛なのである。アルセスト〔モリエール「人間嫌い」の主人公〕が自…

( ゚Д゚)<10年たって俺はまた何故ここにいるのか…─why

「彼はうなずいた。私をじっと見つめていた。「あなたのことを少し話してくれませんか、マーロウさん。さしつかえなかったらですが」 「どんなことです。もう永いあいだ、私立探偵をやっています。独身の中年者で、金はありません。留置所に入れられたのは一…

( ゚Д゚)<反-歴史

「二年の関係からひとつだけ、おかしな疑念の、影のようなものが残った。男とのことを幾度重ねても、最初の苦痛から結局はほとんど出なかった。それはいい、人並みではないのかもしれないとは前々から思っていた。しかし、生まれて初めて男にからだを押しひ…

( ゚Д゚)<仮往生

「芸術は今日、大洪水以前のように、真の芸術になろうとしているのです。聖書に言う意味合いで、予言になろうとしている。比類ない真剣さで、私が企図していることは、私の紋章学的宇宙(heraldic universe)をただ独りで創造することなのです。その為の基礎…

( ゚Д゚)<旧約聖書の政治性

「しかしその考え方を考慮に入れてもなお、エロヒム資料の作者の物語の真実性への関係は、ホメーロスのそれよりも、より熱烈で一義的に明白である。聖書の語り手は、伝説の真実性を信じることによって、啓蒙主義的立場からいわせれば、その真実性に関心を持…

( ゚Д゚)<最大の味方=最大の仇敵・2

「Life is for kissing and for horrid strife. Life is for the angels and the Sunderers. Life is for the daimons and the demons, those that put honey on our lips, and those that put salt.」 (D.H.Lawrence "Kissing and Horrid Strife")

( ゚Д゚)<断言

「あえて簡潔な文体で書きうるのは偉大なる魂に限る。ルソーが『新エロイーズ』であんなに修辞を用いたのはこのためである。三十歳にもなれば読めたものではない。」 (スタンダール「断章」)

( ゚Д゚)<グノーシス永遠入門

「グノーシス思想に固有な構造をなしている恒久的、根源的特徴の一つは、実際のところ、グノーシス思想が世界あるいは創造と神を対立させていることを内容としているところにある。感覚的宇宙はすべて、悪しきものとして感じられ判断されている。したがって…

( ゚Д゚)<ギリシア永遠入門

「さて、この全宇宙(ウゥラノス)──と言うか、コスモスと言うか、あるいはその他何とでも、名づけて呼ぶ分には、この当のものが一番よく受け入れてくれるような名称で呼んでおくことにしましょう──とにかく、そのものについて、まず第一に、およそどんなも…

( ゚Д゚)<日本永遠入門

「ものごとを単純に考へることは、私の信条である。この世の中に、無常と永遠といふ二つの相反する考へ方がある。月はみちかけするが、失われることがない、逝く水は逝きてかへらぬが、絶ゆることがない、かういふ考へ方が無常と永遠を一つのものの二面とす…

( ゚Д゚)<ナルシシズムの詐術

「注意すべきことに、フロイトはナルシス神話を無批判的に読み、この神話の表面的な意味を単純に採用して、「ナルシシズム」を発見し、またそう名づけている。その表面的な意味は、分身の暴力的な相互関係性、およびその相互性の暴力的な否定、そして模倣に…

( ゚Д゚)<自尊心のからくり・2

「自尊心の傷みは虚栄心の働きの一つである。私は相手に負けたくない。それなら私は相手を私の価値の裁き手としているわけである。私は彼の心を動かしたいと思う。こうして我々はとかく常軌を逸したことをするようになる。 …… 嫉妬は自分の恐れる相手の死を…

( ゚Д゚)<自尊心のからくり

「なんの欲もなかった男に十字勲章とかアカデミー会員の資格を差しだし、それをほしがらせてから、すぐ餌をひっこめてみたまえ。大臣の媚態はときにこのようなものであり、セリメーヌの媚態はつねにこのようなものである。これは二度はずかしめることである…

( ゚Д゚)<無知の罪

「私は西成で三年、山谷で十二年、都合十五年間の労務者生活を送ってきたわけだが、その私の眼には、世の中の底辺にはあるはずだという人間の気高さや美しさを見出すことはできなかった。山谷住人のマジョリティの姿は、私の何年間かの一般市民社会での見聞…

( ゚Д゚)<はりつけオチ

「アハシュエロス王はエステル王妃に言った、「だれのことか、そんなことをたくらんでいる男はどこにいるのか」。エステルは答えた、「迫害をたくらむ敵は、ここにいる見下げはてた男アマンです」。アマンは王と王妃の前で恐れおののいた。 王は宴席から立ち…

( ゚Д゚)<ぶらさがりオチ

「アブサロムはダビドの家来と相対することとなった。彼はらばに乗っていて、そのらばが巨大なテレビンの木のしげった枝の下に走りこんだ。そのときアブサロムの髪がテレビンの木の枝にがっしと引っかかった。らばはそのまま歩きつづけていったので、彼はぶ…