( ゚Д゚)<自尊心のからくり・2

「自尊心の傷みは虚栄心の働きの一つである。私は相手に負けたくない。それなら私は相手を私の価値の裁き手としているわけである。私は彼の心を動かしたいと思う。こうして我々はとかく常軌を逸したことをするようになる。
 ……
 嫉妬は自分の恐れる相手の死を望む。自尊心を傷つけられた男はまるで違う。彼は敵が生きて、彼自身の勝利の目撃者たらんことを欲する。
 自尊心を傷つけられた男は恋仇が競走を放棄するのを見たら苦しむに相違ない。なぜなら恋仇は無礼にも心の中で次のようにつぶやくこともあるからである。「これ以上あの女にかまけて、あいつに勝っちゃうと悪いからな」
 自尊心の傷みはけっして明瞭な目的を持たない。ただ勝利あるのみである。」
スタンダール恋愛論』)