( ゚Д゚)<女のつめたさ

「女の髪が耳に触れるともなくかすかに触れる時、感情が匂いとなってしみこんで来る。……
 髪も耳も冷い。しかし、髪も耳もその冷たさが魅力なのであろう。脣、頬、腕、そのいずれで、われわれが女の髪に触れるにしてもその冷たさは、ふと意外である。だが、その冷たさに、春夏秋冬それぞれ季節の感情が感じ分けられるのだ。
 女の耳が温かい時、われわれは彼女を愛するのがむずかしいか、または愛し過ぎて耳なんか忘れている時かだ。」
川端康成「髪と耳」)