( ゚Д゚)<さあ読むがいいスタンダールを・2

「ぼくが大好きな『〔リュシアン・〕ルーヴェン』にかんしては、ぼくが君がこれについて賞讃の言葉以外のことを言うのを禁じたいのだ……。ぼくは、スタンダールが、ちょうど自分に語るように──つまり、ぼく自身がしばしば自分に語るように──書くから、彼を愛している。そして彼は非常に理にかなっている。とにかく、スタンダールは、恋愛について書いている部分でぼくががまんできるほとんど唯一の作家なのだ。恋愛は、ベール以外のひとに書かれると、ぼくにとっては嫌わしい。ベール自身においてこれ以上にすぐれたものはない。そして、この点においてシャストレール夫人との恋愛以上のものはない。これは完璧である。これは私の胃袋に必要な、心と肉体の──正確な混合である。……
 他の作家では、二重唱はお粗末、つまり前もってわかってしまっている。美しい文句をつくるだけ……。
 リュシアンは『赤と黒』より粗野でないから、私はこの作品のほうが好きだ。そして、ここにはすばらしい父ルーヴェンがいる。バルザック自身でも書けなかったような人物だ。」
ポール・ヴァレリー「ジイド宛書簡」)