( ゚Д゚)<はしゃぐな

「趣味のない批評家、つまり良心のない批評家は如何なる作品の前に立っても驚かぬ。何故って徐にポケットから物差を索り出せばよいからである。だが少しでも良心をもつ批評家は物差を出すのが恥かしい、だから素手で行こうとする。処が途中で止って了う。これから先は兎や角言う可きでない、すばらしい! と溜息なんか吐いて了う。何故君は口から出ようとする溜息をじっと怺えてみないのか? 君の愛と情熱との不足が探究の誠実を奪うのだ。若し君が君が前にした天才の情熱の百分の一でも所有していたなら、君は彼の魂の理論を了解するのである。何故って君の前に作品を創ったのは鬼でもなければ魔でもないからである。この時君に溜息をする暇があるだろうか?」
小林秀雄「測鉛II」)