( ゚Д゚)<出社拒否の心理学

「われわれは寒い朝寝床から火のない室に起きて出るとどんなであるか、またいかに、われわれの内なる生活原理が起きよとの命令に反対するかを知っている。おそらく多くの人は、いつかの朝決心を敢行することができなくて一時間も寝ていたことがあるであろう。遅くなることも考え、その日の仕事に差し支えることも考える。「起きなければならぬ、これは恥かしいことだ」とも思う。しかるに温かい寝床は心地がよすぎて外の寒さは酷すぎる。そして抵抗を打破って決行せんとする瀬戸際までいっては、繰り返し繰り返し決心が消えては延期する。さて、かくの如き場合どうして遂に起きるのであろうか。私自身の経験から概括すれば、たいてい煩悶や決心の結果起きるのではない。突然起きてしまっているのである。幸いに意識の脱失が起こる。温かさをも寒さをも忘れてしまう。日常生活に関連のある何かの想像に陥り、その間に「さあ、もう寝てはおられぬ」との観念が閃く。その観念は折りよくも、なんら反対や麻痺的な暗示を喚起しないので、これがために直ちにその本来の運動結果を生ずる。」
ウィリアム・ジェイムズ『心理学』)