( ゚Д゚)<おもしろ人類

「まず第一に諸君が知って置かねばならぬことは、人間の本性(原形)とその経歴である。実際原始時代におけるわれわれの本性は、現在と同様なものではなく、まったく違っていた。第一に、人間の性には三種あった、すなわち現在のごとくただ男女の両性だけではなく、さらに第三のものが、両者の結合せるものが、在ったのである。そうしてその名称は今なお残っているが、それ自身はすでに消滅してしまった。すなわち当時男女〔androgunos〕といって、形態から見ても名称から見ても男女の両性を結合した一つの性があったのである。けれども今はただその名称が罵言の言葉として残っているに過ぎん。次に当時各人の姿は全然球状を呈して、背と脇腹とがその周囲にあった。それから四本の手とそれと同数の脚と、また円い頸の上にはまったく同じ形の顔を二つ持っていた。そうして背中合せの二つの顔にただ一つの頭顱、それに耳が四つと、隠し所が二つ、そうしてその他はすべてこれに準じて想像し得る通りである。人は現在のように直立して、しかも欲するがままに前後いずれの方向へでも歩いた。が、それのみならず一たび急いで駆けようとする場合、ちょうどとんぼ返りする者が両脚を逆立てながら輪を描いて行くように、彼らはその当時具えていた八つの手足に支えられて輪を描きながら迅速に転って前進したものである。」
プラトン『饗宴』)