( ゚Д゚)<念願の霊感降臨祭

「いわゆる霊感というものを感じたことがある者なら誰でもあの突然の熱狂を知っている。それはわれわれを訪れる考えが卓抜なものであることを示す唯一の印であって、そんな考えが現われると、われわれは大急ぎでそれを追いかけずにはいられなくなり、言葉はただちに柔軟で、透明になり、たがいに反映し合うようになる。一度そうした経験をした者は、いかなる考えもそれがどれほど正しく見えようと、またいかなる着想もそれがどれほど独創的に思えようと、表現するに値しないことを知っている、そしてこれから言うことが言うに値するものであり、やがてほかの人々の心を同じ興奮のなかに投げ入れることができるということを示す唯一の印であるあの興奮がふたたびわれわれのなかに生れてくるのを待ち望んでいる。だからそうした興奮がもう繰り返されず、考えが心に浮かぶたびにただむなしくあの熱狂を、あの頭脳の刷新を待っている時期というのはひどくもの悲しいものなのだ。ところがそうした熱狂や刷新に出会うと、あらゆる隔壁が崩れ落ちるように見え、どんな障害もどんな硬さももうわれわれのなかにはなくて、われわれのすべての実体は一種の溶岩のようになって、今にも鋳型に流し込まれ、思うままの形をとることができるようになり、あとにはもうわれわれのものは一片も残らず、止まりもしない。」
プルースト「霊感の衰え」)