( ゚Д゚)<人間=産業廃棄物

「「わしは睾丸をぶらさげた動物じゃからね、フェルディナン、だから事実をつかんだときは、だんじて離さん……そういえば、先日も、そのことでおもしろいことがあったっけ……ある文学者をみてほしいと頼まれてな……ねじがゆるみ始めとるんだ、その作家は……ひと月以上も前からそいつは何をわめき立てとったと思うかね? 《おしっこ! おしっこ!》なんと家じゅう響き渡るような声で、こうがなり散らしとったのさ! 完全にいかれとるんだ……まちがいない……正気の反対側へ行っちまったのさ!……ともかく原因は他でもない小便をするのにひどい障害を味わっていたことからだ……古い尿道狭窄が尿毒症をおこして膀胱をふさいどったんだ……さぐりを入れ、一滴一滴掃除にかかったが、なかなか片づかん……家族の者はそれでもまだ原因はその男の天才から来ていると言いはってきかんのさ……そいつが、その作家がやられとるのはむしろ膀胱だと家族の者にいくら説明しても、だれも承知せん……奴らい言わせれば、その男は天才が度を越したためにやられたというわけだ! 結局みんなの意見に調子を合わすより仕方がなかったよ。家族っていうのがどういうものか、君も承知しとるだろう? 身内だろうがなかろうが、人間は、結局、腐りかけのしろものにすぎないんだってことを、家族の者にわからせるのはたいへんな苦労さ……腐りかけのしろものに金をかけるわけはないよね……」」
ルイ=フェルディナン・セリーヌ『夜の果ての旅』)