( ゚Д゚)<哲人に夢有り

「眠りのうちで意識がまどろむとき、夢のうちでは実存が目覚める。眠りの方はといえば、これは生へと向かい、これをみずから準備し、それに区切りを入れ、それを助成する。眠りが死の見かけを呈するにしても、それは、死ぬまいとする生の詭計によるものなのである。眠りは「死を装い」はするが、それは「死を恐れて」のことであって、眠りは依然として生の次元にとどまっているのだ。
 夢はこのような眠りと共犯関係を取り結んだりはしない。眠りが生を目指して下ってゆくその坂道を、夢は上ってゆく。夢は実存へと向かい、そこで自由の運命としての死をまざまざと直視するのである。というのも、夢はおのれ自身のうちで、おのれがたずさえている実存のあらゆる意味作用を用いて、眠りとまどろんでいる生とを抹殺するからである。眠りが夢を可能にする、と言うべきではない。なぜなら、眠りを死の光のもとで目覚めさせることによってそれを不可能にしてしまうものこそ、夢にほかならないからである。」
ミシェル・フーコー「夢と実存 序文」)