( ゚Д゚)<フロベールとD.H.ロレンスの交わらぬところ

「今日は荒模様だったので「五都地方のアンナ」〔アーノルド・ベネットの小説〕を読了した。五ヵ月の間英語の活字をほとんど一字も見なかったのでそれを読んで非常に奇妙な気がした。自分がどこにいるのか分からないような気がする。僕は──いまはいつもイタリー語だが──何か外国語を話したり歌ったりして外を通る人々になれている。でも今日ハンリーに行きほとんど僕自身の方言を読むのは、全く病気になったような気がする。僕はイギリスとその無希望とを憎む。ベネットの忍従を憎む。悲劇は実際悲惨に対する力強い足蹴であるべきだ。しかるに「五都地方のアンナ」は悲劇の承認のように思われる。フローベール以来のあらゆる近代文学はそのとおりだ。僕はそれを憎む。僕は、急いで洗いたい──イギリスと古さと汚穢と絶望とを洗い去りたい。」
D.H.ロレンス「A・W・マクラウド宛書簡」)