( ゚Д゚)<初期文学病

「こうしてお見受けしたところ、二十前後の皆さんのなかには、鈴木三重吉の「赤い鳥」風の綴方の幸福な洗礼を受けた方々もおありでしょう。そうして、小学校の時はいい綴方を書いたが、女学校へ上って、ものを思う頃になると、つまり文学的な心も育って来ると、却って皮肉なことに、書く文章はまずくもなるし、第一くだらなくなってしまう。そういう方がいらっしゃらなければ結構ですが……。しかし、先ず必然的にそうなるのが通り相場であります。皆さんのうちには、卒業の後に、女学校の国語の先生になる方もいられるでしょうが、女学生の作文が小学生の綴方よりも、大体から見てつまらないということは、大いに考えてもらいたい問題であります。」
川端康成「綴方の話」)