( ゚Д゚)<作家の闘い

「十六日発信のお手紙ありがとうございます。来週にはそちらに出かける予定でおります。木曜日にあなたとお会いする約束をつくってほしいと、エリザベス・マッキーに頼んでおきました。けれども、会ってお話しする前に、あの小説について、それから、手紙でお申し越しの御批判について、私の立場をはっきりさせておくべきだと存じます。
 私のめざすものが、完成稿ではもっとはっきるすることを望むしかありません。ですが、あなたの寄稿者リストに載っている作家たちとちがって、あなたといっしょに仕事をしたいとは、私はまったく思っておりません。あの小説になにか長所があるとすれば、それはまさに、あなたが指摘する短所と関わっているのです。私はありきたりの小説を書いているのではありません。私の書く小説の質は、私の書く体験の特異性、こういう言い方を許していただくなら、独自性に由来するものだと思うのです。それでも、書き方に客観性が欠けているとは思いません。あなたの批判がそのことをさすならば、申し上げておきます。それに、書き直しの結果、めざすものがあいまいになったとも思いません。書き直したことで、今はめざすものがはっきりしてきたと感じております。
 手みじかに申しますと、私は批判を受け入れて書き直す気はありますが、ただし、自分が創作で実現しようとしていることから外れないならば、です。そうでないとすれば、譲る気はありません。この小説の完成稿では、今のかたちよりもぎごちなさが減るだろうと思いますが、それでも、やはり異様なものになるでしょう。」
フラナリー・オコナー「ジョン・セルビー宛書簡」)