( ゚Д゚)<ディオニュソス再定義

「私が美学に導入したアポロン的とディオニュソス的という対立概念は、両者ともに陶酔の二つの種類であると解された場合には、何を意味するでしょうか? ──アポロン的陶酔は何よりもまず眼を興奮状態に置くのであって、その結果、眼が幻視の力を持つことになるのであります。画家、彫刻家、叙事詩人は特に秀れた幻視家たちであります。これに反しディオニュソス的状態においては、情緒系統の全体が興奮状態に置かれ、高揚させられます。その結果、情緒系統はその持てる表現手段のすべてを一度に発動して、描出、模写、変形、変貌の力、あらゆる種類の物真似術や演技力を同時に駆り出して強調するということになるのであります。本質的な点はやはり、形態変化が容易に行われること、反応しないですますわけには行かないような能力にあります。デュオニュソス的人間には、何かの暗示を受けてそれを分らない侭にして置くということが出来ません。彼は情緒の一つのしるしも看逃しません。最高度の伝達術を持っていると同様に、彼は最高度の理解し察知する本能を具えております。彼はどんな皮膚の中へも、どんな情緒の中へでも入り込んで行きます。──彼は休みなく変貌しつづける人間です。」
ニーチェ「ある反時代的人間の逍遥」)