( ゚Д゚)<世界を要約する名前
「しかし、先日、アルパノ湖の上のさびしい道で人生のことを夢見たとき、私は自分の一生がつぎのいくつかの名前によって要約されることに気づいた。そしてその頭文字を、ちょうどザディッグがしたように、自分のステッキで砂の上に書いてみた──小さな丸い壁にかこまれたあのみごとな二本の木のそばに、ウルバヌス八世の兄弟、バルベリーニによって建てられた、ミノリ・オッセルヴァンチ派のキリスト受刑像の休息所のうしろの小さなベンチに腰をおろして。
ヴェルジニー(キュブリー)
アンジェラ(ピエトラグリュア)
アデール(ルビュッフェル)
メラニー(ギルベール)
ミーナ(グリースハイム)
アレクサンドリーヌ(プチ)
アンジェリーヌ(ベレーテル)──私は彼女を一度も愛さなかった。
アンジェラ(ピエトラグリュア)
メチルド(デンボウスキー)
クレマンチーヌ
ジウリア
そして最後に、せいぜい一月のあいだ、青空(Azur)夫人、この人の洗礼名は忘れた。そして、かるがるしくも、昨日、アマリア(ベッチーニ)。
この可愛い人たちの大部分は私に好意をしめそうとはしてくれなかった。しかし彼女たちは文字どおり私の全生涯を支配した。その女たちのあとをついだのが私の作品だ。じっさい私は野心家であったことは一度もない。が一八一一年には、私は自分で野心家だと思いこんでいた。」
(スタンダール『アンリ・ブリュラールの生涯』)