( ゚Д゚)<慾望=神

「われわれにとって必要なことは、われわれの欲望を最も深刻な、最も精神的な欲望をまで、遂行することです。肉体は直接で精神は間接です、最初に葉それから花です、しかし植物は完全な全体です。それ故にあらゆる欲望を、最も深刻なものに至るまで、そして私は自分の最も深刻な欲望は宇宙との純粋な純潔な関係、存在の真理への欲望にあることを見出すのです。一人の女との私の純粋な関係は肉体的精神的結婚であり、他の女とのそれは、われわれの性質に従って、幸福の他の形式であります。等々、どこまで言ってもきりはありません。
 われわれが天使のように永生不死であり、同時に人間の如く死すべきものであるところの天国を作るのは、純粋な関係のこの樹立であります。そして永生不死への道は欲望の遂行です。私は決してひとが戦争をするのを、あるいは戦争にゆくのを禁じはしないでしょう。ただ私は、「ああ、もしきみが全く自発的に戦争に行きたいのでないならば、そのとき戦争に行くのは悪い。いかなる外的な考慮も君に影響してはならぬし、またいかなる古い伝統も君を機械的に強制してはならない。もし君が戦争にゆきたいなら、行きたまえ、それは君の正義だ」と言いたいのです。
 なぜならば、自発的願望のほかに、永生不死の何の告知を私たちは持っているでしょうか。神は(もし神という言葉を用いるならば)欲望として私のうちに作用します。神は私のもろもろの欲望を区別する、大なる欲望と小なる欲望とを識別する理解力を私に与えるのです、私はまた何れの欲望をも挫きあるいは否定することができます、私が実在である限り私はそれだけの自由意志があります。しかし私のうちにある神は私の欲望です。突如として、神は私のうちに新しい運動を新たに起します。それは一つの新しい欲望です。かくのごとく植物は次々と葉を開き、それから蕾を、そしてついに花咲くのです。それと同じくわれわれもまた、未知の世界からわれわれにやってくるところの欲望の未知の衝動の下に、花開くのです。」
D.H.ロレンス「キャサリン・カーズウェル宛書簡」)