( ゚Д゚)<非論理的伏線回収法

「「世界の終り」の「僕」と「ハードボイルド」の「私」が同一人物であるということは最初から僕もわかってたんです。ただ、それがどういう相関関係で壁の中にいるのかというのがわからなかったんです。書いてるうちにわかってくるだろうということで書いていったんですよね。相関関係がわからないでああいう話を書き始めたから、すごく不安でもあった。……
 音を消す話がありますね。それから頭骨の音を聞く話がありますね。そういうのを相関させるポイントポイントを積み重ねていくうちにだんだん近づいていったんです。だから、コツは、一つのポイントを出して、そのポイントに呼応するものを出していく。そうするうちにだんだんバイブレーションみたいなものができてくるんです。共振するというか。そうするとストーリーはわりにうまく重なり合っていくんです。確信がないとダメですけどね、やれるという確信がないと。自分を疑ったらおしまいだから。勢いなんですよね。最初からストラクチュアをつくっちゃうと、勢いが死んじゃうんです。自分が探していこう、自分がつくっていこうという意識がまずないと、死んじゃうんです。」
(「聞き書 村上春樹 この十年 1979年〜1988年」)