( ゚Д゚)<俺はあやまらない

「なぜ悪人は生きながらえ、年をとってその力を増すのか。その子孫は固く立ち続け、そのひこばえは彼の目の前でふえひろがる。彼の家は平和で何の恐れもなく、神のむちは彼らに当たらない。その雄牛ははらませるのをきらわず、雌牛はまちがいなく子を生み出す。彼らはいたずらな子らを、羊の群れのように自由にさせ、子らは飛び跳ねる。彼らは竪琴と太鼓をとって歌い、笛の音に合わせて楽しむ。その日々は幸せに過ぎ、平和のうちに黄泉に下る。
 彼らは神に向かって言った、〈われらから去りたまえ、われらはあなたの道を知りたくない。人が仕えねばならぬというその全能者とは何者か。祈ってどんな利益があるのか〉。悪人の思いは神をはなれているのに、神は彼らの家をよい物で満たされる。悪人の灯が消され、災いが襲いかかり、神の怒りがその財を滅ぼすことがあるだろうか。風が彼らをわらのように運び去り、たつまきが彼らをもみがらのように飛ばすだろうか。……ある人はその盛りのときに、幸せと平和のさなかに死ぬ。その腰には脂がのり、その骨の髄は肥えていたときに。ある人は魂に苦しみをだき、幸せを知ることなく死ぬ。彼らはともにちりの中に横たわり、うじ虫に襲われる。
 ああ私はあなたたちの思いを知っている。私について悪意を抱いていることを。〈暴君の家はどうなったか。悪人の幕屋はどこにあるか〉とあなたたちはいう。旅した人たちに尋ね、彼らの話すことに耳をかすがよい。〈災いの日に悪人には災いが当たらず、怒りの日にも彼は幸せだ〉と。だれが面と向かってその道を非難しよう。彼の行為を支払うのはだれか。ともあれ彼は墓に運ばれ、その塚を見守る者もいる。谷の土くれは彼に快い。すべての人がそのあとに連なる。さて、あなたたちの空しい慰めはどういうことなのか。あなたたちの返答はうそだ。」
(『旧約聖書 ヨブ記』)